日々、ドナルド・キーンとともに

久保田淳先生と面会

2025.9.18 / 

ずっとお目にかかりたいと思っていた国文学の大家、特に短歌について深い造詣をお持ちで著書など多くおありの久保田淳先生に9月12日についにお目にかかりました。上野の日本学士院の入り口で待ち合わせ、東京文化会館2階にある上野精養軒で1時間ほど貴重なお話しをうかがいました。

久保田先生をよくご存じだったことは父からも聞いていたのですが、父が亡くなった年の2019年4月10日のお別れの会に先生はご参加下さいました。その時に私は、「お父さまのことについてお話しさせていただけますので、いつでもお声をおかけ下さい」とありがたいお言葉をいただきました。今回父の担当だった朝日新聞の柏崎歓さんに間を取り持っていただき待ちに待った久保田先生との面会が実現しました。

先生は前もって私に近著『百人一首』(久保田淳校注 岩波文庫)をお贈り下さりました。また先生の座談集『心あいの風』にはドナルド・キーンとの対談が掲載されています。前者は百人一首について一首一首大変深い考察なされていて実に読み応えがありますし、また後者は座談集としてそれぞれのお相手と久保田先生ならではの会話が展開され、とても読み易く引き込まれてしまいます。

この二冊を持参し署名もしていただきました。

父は『日本文学史』を執筆するに当たって、久保田先生の著書を参考にしたり引用したりしています。特に『新古今和歌集』や勅撰集についてです。先生の著書に大きな影響を受けたことがうかがえます。

京都の学会で何度か先生が父をお呼び下さったこと、東京大学での学会でもお呼びいただいたそうです。また父が東京大学の外部諮問委員として当時の総長にお目にかかったときには先生がご同席下さったことなどなど、お聞きしておいてよかったと思うお話を数々うかがいました。

92歳とは思えないお元気さでしたのでまたお話をおうかがいする日を楽しみにしたいと思います。