日々、ドナルド・キーンとともに

ハワイ三日目(6月3日)

2025.6.7 / 

この日はホノルル滞在三日目(6月3日)ですが、以前から大いに気になっていて是非行きたかったハワイ大学マノア校図書館、Hamilton Libraryに森さんと一緒に行きました。私にとってハワイ大学は文楽公演で行ったことがあったのですが、たぶん40年ぶりくらいでした。勿論父ドナルド・キーンを知る前の25年くらい前だったでしょうが、父の親友のバーバラ足立さんが司会や解説をして下さいました。その頃文楽ファンでいらっしゃった方には、懐かしい!と思われる方もおられるかもしれません。

バーバラ足立さんには名著『文楽の人びと』(1978年)がありドナルド・キーンが序文を寄せていますし、私の二十歳代の写真も何か所かにあります。

父は海軍語学将校時代の1943年2月から1945年12月までハワイに滞在していた時、この図書館を随分利用したこと、また休みの日を利用して日本文学に興味のある友人数人とハワイ大学の日本文学の先生、上原征夫(うえはらゆくお)先生の教えを受け、『源氏物語』や現代文学を読んだことがあり、世界大戦の真っただ中にありながら日本文学への情熱を絶やすことがありませんでした。

そのように父とハワイ大学の図書館とは浅からぬご縁があったことは明らかでしたので今回訪問したことは当然のなりゆきでした。

実は訪問する当日の夜中に目覚めて突然思いだしたことがありました。ハワイ大学の図書館のライブラリアンの中村充孝さんをメールだけですが存じ上げていました。父や私とも親しかったコロンビア大学のかつてのライブラリアン、野口幸生(のぐちさちえ)さんの元で半年ほどでしたが中村さんは助手をしていたこともおありでした。そんなこともあり中村さんを存じ上げていたのですが、メールも前もって差し上げずに訪問してしまいました。

中村さんをよく知っておられる日本出版貿易の弘中さんからも一報を入れていただいていたのですが、やはり不在でいらっしゃいました。

しかし事情をお話しして3階の日本をはじめとしてアジア関係の書籍のあるフロアに連れて行っていただき、書籍を見たり展示を見たりしていました。ちょうど私たちが興味を持っていたMIS(Military Intelligent Service アメリカ陸軍情報部)の展示や、ハワイ移民125周年を記念した展示でした。MISの展示には、父の沖縄戦における部下(父は沖縄戦では陸軍が通訳が不足してたため陸軍第96師団に所属していました)だった比嘉武二郎に関する記事が展示されていて驚きました。私は10年前に父とホノルルで比嘉さんに会ったことがありましたし、2012年には沖縄で比嘉さんのおばさんの家にも行きました。

タケジロウ・ヒガ – Wikipedia

そこにちょうどライブラリアンらしき女性が来られたので森さんが声をおかけすると日系三世で日本語をよくする照屋清美さんでした。普通は三世ともなると日本語は話せないのが普通なのですが、とてもきれいな日本語でした。独学で日系人のために書かれた教科書で勉強されたようです。

上記の二つの展示は照屋さんが企画し展示されたもので、私たちは照屋さんに質問を投げかけ、照屋さんは的確に丁寧にそして親切にお答えくださいました。かなり長時間に及んだかもしれません。まさに私たちの興味と照屋さんのご研究とは一致していたと思われました。

また連絡を取り合い、いろいろお聞きすることにしてこの日は別れました。

とてもゆったりした広い、素敵な図書館でした。